エステルオイルの特性と優位点
○ 一般的にエンジンオイルは流体潤滑といって、金属と金属の間に非接触の為の膜を形成して
浮かした状態にして潤滑させています。
この油膜の強度は粘度の強さに比例す為、始動時や冷却時には硬すぎ、超高温時には逆に密度
の安定性が失われてしまうという、相反する現状があります。
特に、モータースポーツのような過酷な条件下では顕著になる事は言うまでもありません。
これまでは、これを解決する為に変性植物油(ひまし油)を利用する事で対処してきました。
変性植物油は極性基という電気的特長を持っており、いわば、オイルが金属にくっ付く磁石の特性
(親和性)を持っていると考えていいでしょう。
カストロールのR30、A747、ワコーズのRV-R、RV-K等が現在良く使われています。
自らが金属面に吸い付こうとするわけですから極めて安定し、強い皮膜を形成できるわけです。
特に、クランクシャフトの軸受けであるベアリングはフローティング潤滑に遠心力が加えられ、オイル
を引き剥がそうとする力がかかる為、拮抗すべき力がオイル自体に有る事は重要なのです。
しかし、変性植物油には決定的弱点がありました。
基本的には食用サラダ油と同じナマモノですから、極めて寿命が短いのです。
酸素、水素共に極性基で電荷を持っている為、高温、高圧の使用条件では、より早く酸化してしまう
のでサラダドレッシング並に作りたてを使う必要がある訳です。
また、油膜強度を上げる為に粘度も高く、重い、モタつくといった現象も一部で指摘されています。
これを解決する為に各社、部分合成油等さまざまな商品を出していますが、決定的な解決には未だ
至ってはいない、と言う事のようです。
そこで、エステルオイルの登場です。
変性植物油の極性基という特徴を抽出できないか、と研究を重ねた結果、エステルオイルの合成に
成功しました。
エステルオイル自体は以前より存在していたのですが、あまりに高価だった為、ジェットエンジンの
高速タービン軸専用オイルとして使われていたのです。(1ガロンで車が買えると言われたそうです)
現在でもやや高価ではありますが、一般化してきたことでかなり買いやすくなったと思います。
エステルオイルの特徴として極性基の特徴を持つことは上記のとおりですが、加えて、分子の大き
さが従前の鉱物油などと比較すると数十分の一のサイズになり、極めて均一に金属面に吸着する
のです。
さらに、吸着性があるため粘度が低くても油膜強度が変らないという事なのです。
当然、フリクションロスは低減し、レスポンス、パワー共にアップする訳です。
※エステルとはアルコールと酸が反応して出来たもので、原油からの抽出の効率が非常に悪いため、
高価となり石油メーカーは積極的に販売をしていませんでしたが、高性能エンジンと環境対応ガソリン
の出現により、最近注目を得ている成分です。(自然分解しやすく、地球に優しいオイルです)
2スト用エステルオイル NC33
スチール缶1000cc入り 4000円
混合専用 30:1〜35:1
(よく振って混合してください)